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東京地方裁判所 昭和44年(ワ)70313号 判決

原告 黄宋堯 外一名

被告 山中巌

主文

原告らと被告間の当庁昭和四四年(手ワ)第二六二六号約束手形金請求事件の手形判決を全部認可する。

異議申立後の訴訟費用は被告の負担とする。

事実

当事者双方の求める裁判及び原告らの請求原因事実は、いずれも主文掲記の手形判決の事実摘示記載と同一であるから、これらをここに引用する。

被告訴訟代理人は原告らの請求棄却の判決を求め答弁として次のとおり述べた。

(1)  原告ら主張の請求原因事実は認める。

(2)  本件各手形のうち手形判決添付の手形目録1ないし4記載の手形はいずれも被告から原告黄に白地式で裏書譲渡され、また、本件手形のうち手形判決添付の手形目録5記載の手形は被告から原告内藤に白地式で裏書譲渡されているが、被告と原告黄との間及び被告と原告内藤との間にはなんら右裏書の因つてきたる原因関係がないから、各原告の本件手形にもとづく請求は失当である。

原告ら訴訟代理人は、被告答弁(2) に対して次のとおり述べた。

原告黄は昭和四三年二月二六日から同年五月一一日までの間被告及び本件各手形の振出人である訴外荻野信之の懇請によつて訴外正金産業株式会社に合計一三一五万円を貸し付け、被告は原告黄に対し右訴外会社の借受金債務について連帯保証の責に任ずることを約し、これが連帯保証責任履行の方法として本件各手形を原告黄に白地式で裏書譲渡し、右手形のうち手形目録5記載の手形は同原告から更に原告内藤に白地式で裏書譲渡したものである。

証拠〈省略〉

理由

原告ら主張の請求原因事実は当事者間に争いがなく、単に裏書について原因関係がないことのみを主張し他の事実主張を伴わない被告答弁(2) の主張は、それのみで原告らの請求を妨げることはできないし(手形法七五条二号、七七条一項一号、一二条一項、一七条参照)、また被告本人の供述に依れば、本件各手形は原告ら主張のとおり被告の原告黄に対する連帯保証債務の履行方法として被告から原告黄に裏書譲渡されたものであることが明らかである。

以上の次第で被告の抗弁は採用することができず、前記当事者間に争いのない原告ら主張の請求原因事実に依ると、原告らの本訴請求は法律上理由があるので、民事訴訟法四五七条四五八条八九条を適用して主文のとおり判決する。

(裁判官 安藤覚)

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